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クリニカルクエスチョン(腰痛編)~背臥位で痛い~

臨床上、背臥位で腰痛が生じることを多く経験する。その理由として、以下のクリニカルパターンがあげられる。注目すべきは腸腰筋である。腸腰筋を大腰筋と腸骨筋にわけて述べる。

 

大腰筋の短縮が存在すると、背臥位で腰椎の前彎が増強する。その結果、椎間関節の棘突起間部のストレス増大、また滑膜や半月板様脂肪組織のインピンジメントを招く。あるいは、棘突起間の衝突により疼痛が生じることがある。

腸骨筋の短縮が存在すると、背臥位で寛骨の前傾(仙腸関節カウンターニューテーション)が生じ、長後仙腸靭帯の伸張ストレスによる靭帯性疼痛が生じる。

 

上記の場合、背臥位にて膝窩にクッションを入れることで、股関節屈曲位となり腸腰筋の牽引ストレスを軽減することができる。治療としては、腸腰筋の短縮に対してアプローチをするが、以下の場合に注意が必要である。

  1. 仙腸関節内の炎症が生じている場合:仙腸関節のニューテーションは関節の締りの肢位であり、関節内の圧縮ストレスが生じる。仙腸関節内の炎症が生じている場合、この圧縮ストレスは症状増悪を招くため、腸骨のスパズムが生じることがある。結果的に仙腸関節のカウンターニューテーションが生じ、関節内の圧縮ストレスが軽減するため、この腸骨筋のスパズムに対する治療は症状増悪を招くことがある。
  2. 仙腸関節の不安定性が強い場合:仙腸関節のカウンターニューテーションは緩みの肢位であり、背臥位では同時に後方から床反力を受けるため、関節の不適合が生じやすい。滑膜の易刺激性がある場合、そもそも背臥位は安静肢位とはならないことがある。※仙腸関節の安静肢位は患側を上にした側臥位で、下肢軽度屈曲位である。このとき、両膝間にクッションを挟むことで、股関節外転筋群の牽引ストレスを軽減することができるため、更に疼痛の軽減が認められることがある

参考文献

・石井美和子監訳『骨盤帯 原著第4版』医歯薬出版株式会社,2013年

・小倉秀子訳『ヤンダアプローチ』三輪書店,2013年

・齊藤昭彦『腰痛に対するモーターコントロールアプローチ』医学書院 2008年

・佐藤友紀『パリス・アプローチ 腰,骨盤編 —評価と適応— 』文光堂 2009年