前回は、ブローカ失語とウェルニッケ失語について紹介しました。
今回は、伝導失語、超皮質性運動失語、超皮質性感覚失語を解説していきたいと思います。
伝導失語は、相手の話すことはだいたい理解することができます。しかし、お話の症状が特徴的です。一見、流暢に話しているように見えるのですが、間違えた単語を言ってしまいます。
具体的な症状は
・70〜80%程度、理解可能
・言いたい単語を話せない
・言葉の修正を繰り返す
・復唱ができない
などです。
違う単語を言っている自覚はあります。そのため、自分が話したい言葉を伝えるために何度も何度も言い直します。しかし、なかなか伝えることができないことも多いです。このような場合は、聞き手が何を言いたいのか推測する必要があります。
伝導失語のリハビリ以下のことを進めます。
1.症状の改善
:仮名を正しく選ぶ練習、など
2.コミュニケーション方法の検討
:比較的得意な能力を使ってコミュニケーションの練習
このように、できる限りストレスなく表出ができるようにしていきます。
比較的相手の言っていることは理解できますが、自ら話そうとすることが極端に少ないです。
具体的な症状は
・50〜70%程度、理解可能
・話す量が著しく減少
・声量の低下
・復唱は得意
・ある一定のルールで話せる:例)「ST:よろしく」→「患者:お願いします」
などです。
このように、何か話しても話し始めるとたどたどしくなってしまったり、声が小さくなったりします。
リハビリでは、2つのことを行います。
1.症状の改善
:叙述、対話の練習
2.コミュニケーション方法の検討
:やり取り必要なコミュニケーション手段の検討、および練習
これらを進めて症状の改善を図ります。
理解は、だいたいできます。しかし、本人が言いたい言葉を言えず違う単語を言ってしまいます。
具体的な症状は
・50〜70%程度、理解可能
・言いたい単語とは違う単語を話してしまう
・復唱は得意
・ある一定のルールで話せる:例)「ST:よろしく」→「患者:お願いします」
などがあります。頭には言いたい事柄は思い浮かんでいるのに、言いたい単語とは違う言葉を話してしまいます。
リハビリでは、2つのことを行います。
1.症状の改善
:言いたい単語を表出するための意味理解の練習、など
2.コミュニケーション方法の検討
:言いたい単語が言えない場合に補助となる手段の検討、および練習
これらを進めていきます。
失語症の方とのコミュニケーションは程度の差とは関係なく、私たち聞き手の推測がとても大切になります。どんなに症状が軽くても、言いたい言葉が出てこない…などコミュニケーションにストレスを感じています。
一緒に生活をしていると、この状況に慣れてしまい「また何言ってるかわからない!」とイライラしてしまうこともあるかもしれません。しかし、投げやりになるのではなく時間をとってコミュニケーションをとることが大切です。
この心がけ一つで失語症の方はストレスが少ない状態で話すことができます。結果的にスムーズなコミュニケーションをとることができるのです!
次回は、失名詞失語やその他の失語症の特徴をご紹介したいと思います。