失語症について
失語症は、脳が損傷されることによって起こる言語障害です。発音や発声の障害とは違いますし、認知症とも異なる点が特徴です。今回の特集では、失語症についてご紹介します。
原因
主な原因は、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、事故による頭部外傷、脳腫瘍などが挙げられます。
症状
失語症になると、聴く・話す・読む・書く・計算することが難しくなります。ただし、聴力に問題はないので環境音は(例:サイレンの音、物音など)はしっかり聞こえています。また、脳の損傷部位や広さによって、症状は異なります。 そのため、聴く・読むはできるのに話す・書くが難しくなる方もいれば、聴く・話す・読む・書く・計算する全ての項目が難しくなる方もいます。その方によって、重症度も様々です。
失語症の方の気持ち
失語症の人は、自分の意見や気持ちをうまく他人に伝えることができません。反対に、人の言っていることをよく理解することも困難です。だからといって、人とコミュニケーションをとりたくないわけではないのです。
失語症の人の気持ちを知り、寄り添う事が大切かと思います。また、下記のようなことを感じている方が多いです。
■言いたい言葉が見つからない
■ゆっくり短く話してほしい
■私の話を勝手に決め付けないでほしい
■話すだけでなく、絵を書いてほしい
■文字や数字を添えてほしい
■身振りやてぶりを添えてほしい
■複数の方に同時に話しかけられると対応できない
おわりに
失語症のリハビリテーションを専門的に担うのが言語聴覚士(ST)です。失語症と診断されたら、まず言語聴覚士のいる施設で専門的な言語訓練を受けることが大切だと考えられます。また、入院生活を終えて家庭に戻られた後に、ストレスが当事者様やご家族様の双方にかからないよう接し方のポイントを知ることや、利用できる制度・サービス・社会活動を知り活用することも大切だと思われます。
参考・引用文献
1)身近な人が失語症になったら…家族のための支援ガイド
2)改訂 失語症の人と話そう 失語症の理解と豊かなコミュニケーションのために