前回は、伝導失語、超皮質性運動失語、超皮質性感覚失語を紹介しました。
今回は失名詞失語と失語症のタイプ番外編の紹介をしたいと思います!
失名詞失語は、相手の話していることはだいたい理解することができます。しかし、自分の伝えたいことが頭の中にあるのに、言葉にすることができません。
具体的な症状は
・80%程度、理解できる
・自分の伝えたい単語を表出できない:例)リモコン→電話
・指示代名詞ばかり話してしまう:例)あの…その…あれあれ、あの〜ほら
などがあります。
伝えたい言葉を話せないことに一番苦しみます。言葉が出ないため、話すことを諦めてしまったり、家族に当たってしまうと言うこともしばしばみられます。
失名詞失語のリハビリは以下のことを行います。
①症状の改善
:言いたい単語の表出練習、など
②コミュニケーション方法の検討
:ジェスチャーや指差しなど、頭の中のイメージを表出する練習
などです。
失語症で最も長く悩まされる「言いたい言葉が出てこない症状」がとても強い失語症のタイプです。
失語症は脳の言語野と呼ばれる部分の損傷によって起こります。多くの人は大脳皮質の左側に言語野があります。その言語野の損傷の程度によって、今まで紹介してきた失語症が生じます。
しかし、それ以外の損傷で失語症になることもあります。
そんな番外編の失語症のタイプを紹介します。
言語野を直接損傷していないにも関わらず、失語症が生じることもあります。その時に起こる失語症のタイプを皮質下性失語症といいます。
具体的な症状は
・60〜70%程度、理解可能
・発症当初の話す量が著しく減少
・日本語にない言葉を話す:例)とけい→こだり
・自分の言いたい言葉を言えない
などです。
ごく稀に、右側に言語野がある人がいます。右利きで、尚且つ右側の大脳皮質損傷によって失語症が起こった場合のみ、交叉性失語といいます。とても珍しい失語症のタイプです。
具体的な症状は
・60〜80%程度、理解可能
・話し方がたどたどしい
・間違った文法で話す
などです。
ここまで、7つの失語症のタイプについて紹介してきました。
失語症といってもタイプによって特徴が異なります。また、人によって症状が違うことも多く、失語症のタイプに当てはまらない場合も多いです。
そのため、必要なリハビリを行いながら個人個人に合ったコミュニケーション方法で会話をすることが大切になります。
次回は、失語症の方への接し方についてご紹介したいと思います。